22、9.3
文責 髙橋
1 剣道用語辞典による「1眼2足3胆4力」とは
剣道用語辞典によると「1眼2足3胆4力」は、剣道修行の大事な要素をその重要度に応じて示したものである。
「一眼」について。剣道で一番大事なことは、相手の思考動作を見破る眼力であり洞察力である。
「二足」について。初心者は手先で打って足がこれに伴わない。むかしから見学の心得に「技を見ないで足を見よ」ということがあるが、技の根元は足であり、足の踏み方使い方は剣道で最も重要視されるものである。
「三胆」について。胆は胆力であり度胸である。ものに動ぜぬ胆力と決断力であり不動の意味である。
「四力」について。力は体力でなくて技術の力であり、わざ前のことである。
剣道はすべて技術を最後にもって来たところにこの教えの尊さがある、と書かれている。
2 ささやかな疑問
この様に、剣道で重要なことは「眼」の次に「足」であるという。「足」の主眼は足捌きになるであろうが、ここでは足捌きにとらわれずに「足」について考えてみる。
初心者が学ぶことは、礼法の次にまず竹刀の握り方・構え方、身構え、足の構え。次いで足捌き・面の打ち方となろう。
でもここで考えていただきたい。礼法を除けば、足捌きを含めこれらすべては、技術の「力」の範疇であろう。ではなぜ「足」なのであろうか。「力」とは異なるものを言っているのか、あるいは「力」の範疇だが、これは特別だよということなのか。
はっきりしていないが資料を漁って考えてみる。
3 希望が丘高校剣道部夏合宿に参加して感じたこと
希望が丘高校剣道部夏合宿に参加して感じたことは次のようなことである。
「足」と言っているが、これは下半身の強さのことで、技術の基盤の事を言うのであり、更に範囲を拡大すれば、体全体の筋骨の強さのことであろう。これは、顧問の今里先生の指導を見ていて、ストンと腹に落ちたものである。
「体幹の強いものでないと剣道は強くならない。技が使えない。」と彼は言っていた。
4 足について古人どのように言っているのか
ア 五輪書の水之巻「足づかいの事」では、歩み足による足さばきを記し、飛び足などの嫌う足捌きについても述べている。風之巻「他流に足つかひ有る事」では、他流の足使いを批判して、足取りの乱れないことが重要と述べている。
イ 兵法家伝書の活人剣の巻では、歩みについて、早くても遅くても悪い、普段の通りが良い、ただし、水月の場(切られる間合)を超したら、素早く迫ると言っている。懸待では、身足を懸にして剣を待にするは、相手に先を出させるためと述べている。
無刀の巻では、切られる間合いに入ったら素早く相手の柄の下に身を入れて刀を取ると書いている。
ウ 剣道の古歌に次の言葉がある。「手で打つ心は初心なり、足で打つこそ上手と知れ」
エ 心形刀流では腰と足とひかがみとを下部の三所(げぶのさんじょ)として最も重要視されている。何をやるにも足腰といわれるが、足腰に十分の機能を発揮させるのはひかがみである。したがってここを硬直させたり、曲げすぎたりしてはいけない。余り目立たない所にあって下部の三所として最も貴ばれる所以である。(剣道用語辞典)
オ 上に述べたことから分かるのは、古人のいう「足」とは「足腰一体のこと」「間合と足捌きと緩急遅速のこと」「打突と足捌きのこと」をトータルしたものと考えることができる。
5 結言
今の私の段階では、「足」とは「鍛えられた足腰を基礎として、緩急なめらかな足さばきで相手との間合いを測り、足腰を使った打突を行うために重要なこと」と理解する。
どうであろうか。