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優れた人物とは

投稿日:2009年7月6日 更新日:

優れた人物(君子)とつまらない人間(小人)について
(論語その他)
21.7.5 文責 髙橋

初めに
剣道では、その理念として「人間形成の道である」と喝破し、剣道修練の心構えとして「自己の修養に努めて世の中に寄与する」ことだと述べている。
自己修養の項目として「気力」「礼節」「信義」「誠」の言葉が並べられているが、いまいち自己修練の目指すところがハッキリしない。そこで、ひとつの目安として、古くて新しい書物「論語」から、優れた人物像を拾ってみることにした。

1 君子は信義を重んじ道理を重視する。
・「君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る。」
 君子は物事にぶつかった時に道理に適っているかどうかを考える。小人は損得を考える。
・「君子は義をもって質となし、礼をもってこれを行う。」
 君子は胸中に義をいだきて、行うに礼をもってする。
・君子は勇気を尊ぶかと問われて、「君子は義をもって上となす。君子、勇ありて義なきは乱をなす。小人、勇ありて義なきは盗をなす。」
 君子は勇気より義を大切にする。君子で勇気だけの者は反乱をする。小人で勇気だけの者は盗人となる。
・「君子は言をもって人を挙げず。人をもって言を廃せず。」
 言論だけで人物を推挙しない。妥当な意見に対してはどんな身分の人の話でも耳をかたむける。
・「君子は道を謀りて食を謀らず。」
 君子にとって道義の研究が第一であって、生活条件は二義的である。

2 君子は穏やかに人との交わりが、安易な妥協や贔屓はしない。小人はすぐ党派を組む。
・「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず。」
 君子は心からの交流をしているが安易な妥協はしない。小人はすぐ妥協するが心からの交わりをしない。
・「君子は周(しゅう)して比(ひ)せず、小人は比して周せず。」
 上と意味は近い。周は集まること。比はひいきをすること。
・「君子は矜して争わず、群して党せず。」
 君子は自信にみちているが、むやみに争そわない。協調するが派閥は作らない。」
・「君子の交わりは淡きこと水のごとし。小人の交わりは甘きこと醴(あまざけ)のごとし。」
 あまざけにはしつっこさがある。
・「君子は人の美を成して、人の悪を成さず。」
 君子は人の良い点を認めて協力するが、悪には加担しない。
・「おのれにしかざる者を友とするなかれ。」
 自分に相応しくない者とつきあってはならない。

3 君子は人に対して思いやり、人の不幸を喜ぶのは小人
・「君子は人の厄(やく)を見れば則ちこれを矜(あわ)れむ、小人は人の厄を見れば則ちこれを幸(さいわ)いとす。(公羊伝)」
 人の不幸を喜ぶのが小人。外国では「人の不幸は蜂蜜の味」と言う。人間の嫌らしいところ。

4 君子は身の処し方、責任の取り方、間違った時の態度が違う。
・「君子はこれを己に求む、小人はこれを人に求む。」
 君子は責任を自分に求めるが、小人は人のせいにする。
・「君子の過(あやまち)は日月の食」日食や月食のように隠すところがない。
「過(あやま)つときは、人皆これを見る。あらたむるや人みなこれを仰ぐ。」
隠さないから、間違った時、みんなが見ている。そして、これを改めると、その態度に感動して仰ぎ見る。
・「小人の過(あやまち)は必ず文(かざ)る。」
小人が間違えると、必ずごまかしたり、弁解したりする。
・「君子は豹変する。小人は面を革(あらた)む。」
 君子は美しく美事に変わるが、小人は表面だけを変える。豹変するは本来褒め言葉。
・「過ちてはすなわち改むるに憚(はばか)ることなかれ。」
・「君子は上達する。小人は下達する。」
 身の処し方が違うから、君子はだんだん立派になっていくが、小人は悪くなる。

5 君子の風貌。恥じない生活をしているから態度が違う。
・「君子は坦(たいら)かにして蕩蕩(とうとう)たり。小人は長(とこし)えに戚戚(せきせき)たり。」
 君子は落ち着いていてゆったりとしている。小人はろくな事をしていないから、いつもくよくよして落ち着きがない。
・「君子は泰にして驕らず。小人は驕りて泰ならず。」泰は泰然としていること。驕りは人を見下すこと。
・「君子、重からざれば威あらず。」
 人は重厚でなければ威厳が表れない。
・「君子に三変あり。これを望めば厳然たり。これにつけば温なり。その言を聞けばはげし」
 君子は三度姿をかえる。遠くから来ていると近づきがたい威厳がある。親しく接してみると温かさが伝わってくる。言葉をかみしめると厳しさが分かってくる。
・「君子は言に訥(とつ)にして、行い敏ならんことを欲す。」
 君子は弁舌さわやかよりも、行動において勇敢でありたい。

6 君子には道理を修めた自信がある
・未開の地で暮らすのですかと問われて「君子これに居らば、なんの陋(ろう)かこれあらん。」君子の住むところがいつまでも田舎であるはずがない。
・「君子は、憂えずおそれず。」
・旅の途中で困苦したとき、君子でも窮することがあるかと問われ「君子もとより窮す。小人窮すればここに濫(らん)す。」君子でも窮することはある。そのときに取り乱すのは小人ばかりだ。

7 君子の悩みや恥
・「君子は能なきを病(うれ)う。人の己を知らざるを病えず。」
 実力のないのを気にかけるべきで、人に認められないことなど気にしない。
・「君子はその言のその行いに過ぐるを恥ず。」口ばかりで行いが伴わないのを恥じる。
・「君子は道を憂えて貧しきを憂えず。」

おわりに
 君子について書かれているところを拾い読みしたが、論語には仁者(まごころ溢れる優しい人)についての言葉や、学ぶ喜びや、自分には出来ないといった弟子に対する厳しい言葉など、味わい深い短い文章が並んでいる。ときに目を通すようにしている。

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剣道を習っていて、フト是で良いのかなと思ったり、こうしたらどうだろうかと考えることがあるが、今更人に言えないで、そのままにしていて、そのうちにマアいいかとほったらかしにしている事って無いですか。
こうした時に、肩の力を抜いてお茶でもすすりながら、「是ってどう思う」と話せる部屋があれば良いなと思い、この部屋を作ってもらいました。
私が考えた事や、人に教えて頂いたことを少しずつ載せていきたいと思っています。批評は私に理解できるようにお願いします。