上に立つ者の道32箇条 岩澤 正二(マツダ相談役)
文責 髙橋
6月3日は大池剣友会の稽古日。そこで、横浜の防具専門店の或る社員に会った。「痩せたね。」と言ったら、嬉しそうな顔をした。ここで、冗談だよと言ったら厭味になるなと思いつつ、「冗談だよ。」と言ってしまった。ゴメンね。
厭味や、愚痴は禁句と書いてある文書を思い出した。それが「上に立つ者の道32箇条 岩澤 正二(マツダ相談役)」である。
岩澤正二(マツダ相談役)さんの「上に立つ者の道32箇条」は、ご本人が、人の話や古典などを参考にして、実体験を通じて得た32箇条を、自らの戒めのためにまとめられたものである。私にとって、この境地にはなかなか近づけないながらも、日常の戒めのチェックリストとして活用させていただいている。
皆さんも、好きな文章を選び出して活用されたらどうだろうか。
上に立つ者の道32箇条
1 嚮(む)かうところを明確に示せ。
2 信を他の腹中に置け。
3 虚心坦懐(たんかい)、光風霽月(せいげつ)、是は是とし、非を非とせよ。
4 褒める時褒め、叱る時叱る。忘れたり、遠慮したりするな。
5 権謀は無策に劣る。巧詐は拙誠にしかず。
6 功を部下に推し、責を身に引け。
7 金銭に恬淡(てんたん)たるべし。
8 自然に導くを得ば、上の上なり。
9 己に薄く、人に厚く、己に厳に人に寛なれ。
10長所を見て人を使え。人は誰しも長所を有す。
11愚痴と立腹と厭味とは人の上に立つ者の大禁物。言いたきことあるも堪え得る雅量あるべし。
12為すべきことを為すために、いかなる情実も、いかなる困苦もこれを排し、断固としてなすべし。
13みだりに難きを責むるな。ただし、泣いて責むべき場合あり。
14自分がまず研究して、確信を得よ。
15広く意見を徴すべし。部下の話は熱心に聞け。
16部下の人事に熱心なれ。人の世話はよくしてやれ。
17その労するところを知り、よく、これをねぎらえ。
18寡黙重厚、従容自若、眼眸(がんぼう)厳正、挙止端正。
19よく休ませ得る者は、よく働かせ得る者なり。
20人のことをわがこと程に思え。
21努めて失意逆境にある人をひきたてよ。
22自他の職域を守り、これを尊重せよ。
23知らざることは、あくまで知らずとなせ。
24少なく言い、多く行え。
25絶えず研究して一歩先んぜよ。
26小疵(しょうし)をもって大功を没すべからず。
27部下に威張るな、部下の機嫌をとるな。至誠一貫、正々堂々。
28外柔内剛、柔らかくとも一節あれ。
29事をなすには、腹をきめてかかれ。
30上に立つ者は、部下をして己の最大の保護者たることを感ぜしめよ。
31自分一人にて事をするな。任せて人を使え。ただし、監督を怠らば、仕事をする人に張り合いがなくなる。
32象徴を高く掲げ、衆心一致、精神の統一をはかれ。中心の引力はあらゆる手段を尽くして強固ならしむべし。