H19.12.1 文責 高橋 通
旭図書館に「高段者への道」という図書がある。ここに要点を抜粋したが、詳細を知りたい人は是非借りて読まれることをお奨めする。
内容(抜粋)
高段者は指導者としての能力(知識・資格)を求められる。
○共通する具体的な素養
①実技
・着衣・着装・礼法が正しくかつ深い修練を感じさせる。
・目付や姿勢・態度を品位・気位を感じさせるように、剣道に美しさが求められる。
・打突の機会や剣先の攻め、間合などが理合いにかなっている。技の出し方の良否が問われる。
・にじみ出る気迫、自然な動き、気を乗せた技、相手に技を出させない気の攻めなど、いわゆる気剣体の一致が必要。
②日本剣道形
・正しい刃筋、適切な間合いなど理合いを十分に理解している。
・十分に気が練れて、技の合理性などの心技の理合いを把握した上で、呼吸や打突の機会、気の争い、残心なども調和が取れていることが必要。
③学科試験
・剣道の理念や心構え、技の解説、剣道の常套句の把握、指導者として必要な事項、審判規則など。
◎各段位の実技における合格基準
○4段の合格基準
・姿勢・態度
完成された、完全に身に付いた姿勢・態度が求められる。
・品位・気位
4段としての風格、剣道の美しさが求められる。
・剣先の攻めと理合いにかなった打突
相手の竹刀を押さえたり払ったりして、剣先の攻めで相手を崩してから打ったものでなければならない。同時に間合いの取り方、流麗な体捌き、機をとらえた打突ができている。手の内の冴えた臨機応変な打突が必要。
・打たれたときの態度
打たれても堂々とした態度、どっしりとした心構えが必要。打ち負けていると焦って打ち込むと評価はさらに下がる。
・残心
身に付いた残心が求められる。
○5段の合格基準
4段よりさらに精神的な要素と、一層の修練を積んだ、練れている剣道が必要。
・理合にかなった打突
間合いの取り方、相手の構えを崩す剣先の効いた攻め、無理のない体捌き、足捌き、相手の隙をついた、冴えた打ち、靜に相手を威圧する様な残心などが求められる。
・品位・気位
4段にさらに磨きがかかった、おのずと姿勢・態度も完成されたものとなっている。
・気の攻め
剣先の攻めだけでなく、相手の気を殺す攻めが出来ているかどうかが重要になる。
○6段の合格基準
風格、気位、技の冴えという高度な内容、総合的な力が合格の基準。合否の決め手を一口で説明することが難しくなる。精神の鍛錬が重視される。
・姿勢態度と気迫
攻防の際、姿勢態度を終始正しく、打突後の体勢が崩れない。
旺盛な気迫を内に秘める。
姿勢・態度と気迫が正しく一体となって、位取りができる。
攻防は派手な打ち合いではなく、技をだすその時、心と気が同時に働く剣道
・技の冴えと残心
打突の機会を確実に捉える。
間合いに明るく、体さばきに無理が無く、しっかりとした打ちで打ちきる。
剣先は常に生きている。残心も同じ。
○7段の合格基準
7段は一般の剣道愛好家が到達しうる最高の段位。
6段の心と気の働きの剣道からさらに奥深い修練が伺える風格、技の使い方、気位が求められる。
技法より心法に重点を置いた剣道ともいえる。
より高度に自己の個性(剣道観)が反映されている事が必要。
・風格・品位・気位
長年の修練からにじみ出る自然な姿勢・態度。攻防における不動の姿勢。間合いの攻防では心を読み、気力と剣で相手に乗って制し、余韻をも感じさせる様な気品・風格が求められる。
・手の内の冴え、体捌き、残心
単に強いだけでなく「上手な剣道」が要求される。臨機応変、自在、当意即妙の技を使える位になっていなければならない。
「理業一致」「攻防一如」の剣、それには、「手の内の冴え」「いかなる体の変化にも体勢を崩さない体捌き」「相手につけいることを許さない重みのある残心」などが重要となる。
○8段の合格基準
全てに完全
◎実技審査の留意点
6段7段審査の寸評を見ると、逆に留意点が見えてくる。
構えに関すること、打突に関すること、気に関すること、風格に関することに大まかに分類できる。
○寸評の列挙
・気迫に欠ける(気力で攻めて、機を見て捨て身で)。
・勝負を避けている。
・残心がない(手打ちになっている)。
・稽古の度合いの差が目立つ(気の争い、間合い、機会、先の攻防、瞬発力などの修練)。
・構えが出来上がり、打突が冴え、風格が有ることが大切。
・態度、構えに堅さあり、理合いのある打突が少なく、単調な打ち合いに終始している。
・短時間内に自己の力を十分に出し切るための攻め、間合い、機会、打突等積極的な気力有る厳しい稽古が必要。
・先の気がなく、間合いも近間で無駄打ちが多い。
・腰の安定と上半身の柔軟さからくる手の内の冴えがなく、打突に真迫性がない。
・構えたとき、気持がバラバラで相手に対して充実した気勢が伝わっていない。
・初太刀を大切にしすぎ、技を出さずに休んでしまっている。
・一本の技に全力を集中できる様捨て身技を修得しておくこと。
・高段者、指導者としての重厚味。
・間合い攻防の理合いの中にも、相手の心までも読み取り対応できるもの。
・いかなる体の変化にも体勢の崩れない重厚味のある動き。
・無駄打ちの少ない正確な打突と残心。
・指導者としての気品、風格